ネパールの料理に胃をやられ気味だったゲレーロを深夜に襲った,突然の上に下にの大運動会.闘いに疲れ,疲弊し切った彼の前に現れたのは,経口補水塩,"NAVA JEEVAN".日本語で「新しい日々」であった.

※上に下にの大運動会というだけって,品が無いと感じられる表現があるかもしれません.その旨ご了承いただいた上で,自己責任で読み進めるかどうかをご判断下さい.


経口補水塩ていうのは,下痢などによる脱水症状の時に,水分を効率的に摂取するための粉で,まぁポカリの粉末です.これを1日3~4リットル飲めと言われました.

特に怪しい感じもしませんし,WHOだってお勧めしてるらしいし,と,藁にもすがる思いで,こいつで大洪水と闘うことを決意します.小康状態ながらも油断すると色々やばい事になりそうな胃腸を抱えながら,どうしても済まさなければならない仕事を終えまして,返す刀でスーパーに行って,ミネラルウォーターを4本と,「新しい日々」を4袋を,これだけあれば充分だろうと購入.部屋に戻って我が相棒となる「新しい日々水」(あたらしいひびみず)の作成にとりかかります.裏側の使用法を見てみると,

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このように,全てネパール語.表側の英語表記が罠だったんじゃないかと思える程にネパール語.しかし,さすがWHO推奨.親切に絵が描いてあるのでこれを頼りに作る事が出来そうです.「たかがポカリもどきと言えども,今晩の闘いは熾烈を極めるはず.少しの間違いも許されん」とか呟きながら,使用法の理解に努めます.推察される使用法は左上から右に,

多分・:手を洗いましょう
多分・:鍋とコップ6杯の水を用意しましょう
多分・:水を入れた鍋に,「新しい日々」1袋を入れて混ぜましょう
多分・:赤ちゃんに少しずつ与えましょう
多分・:鍋にはしっかり蓋をしましょう
多分・:赤ちゃんにおっぱいをあげましょう

最後の工程に若干動揺しながらも,鍋と水をペットボトルのミネラルウォーターに置き換え,どんどん準備をしていきます.そして準備したそばからがぶがぶ飲んでいきます.で,味なんですが,「完全に気の抜けたファンタオレンジから砂糖を除いて,少量の塩を入れた」みたいな味でした.あからさまにまずい訳じゃないんだけど,なんか嫌な後味,みたいな.どこがムカつくって訳じゃないんだけど,なんか殴りたくなる,みたいな.そんな味でした.

しかし,殴ってペットボトルが破れたら元も子もありませんので,作るそばから飲み終えた1本を除いた「新しい日々水」3本を横に,夜を迎えることにします.

案の定,夜半頃から大運動会の幕が開けられた訳ですが,まぁ,あれなんですよね.ポカリですからね.特に症状を緩和する成分とか入ってないので,出てくるのが飲み食いしたものから,「新しい日々水」に変わっただけでした.飲んだと思ったら私の身体から出て行く「新しい日々水」.ブルータスお前もか,と言いたくなる惨状でした.
右を下にして寝ると楽ってなんかで聞いたよな,とか思いながら横になり,虚ろに壁を見つめながら数分後に来るであろうビックウェーブに怯える夜.日本に比べると衛生状態の悪い国に行ったことがある方なら一度は経験するものですが,その心細さったらない.日本に帰りたい.

日本で思い出しましたけど,ネパールみたいな生水を飲めなくて,しかも言葉(日本語は勿論,英語も)が通じにくい国に滞在する場合,日本ではコンビニを筆頭にあたりまえの,24時間営業でやっている店が無いことが多いです.これが結構辛いんですよ.
多くの土地の宿で,高級ホテルか,宿に経営者が住んでいる所でない限り,深夜はレセプションに人が居なくなって,警備のおっさんが所在なげに座ってるだけになることが非常に多い.つまり,部屋に用意されている飲料水を飲み干してしまうと,飲み物を手に入れる術がなくなってしまう.お酒を飲むのが好きな方とかは特に,上記のような国を訪れた時は,店が開いているうちに夜を乗り越えるのに充分な飲料水を買いだめしておくことをお勧めします.
なぜなら,「新しい日々水」を予定より大幅に早く飲み干してしまった私みたいな状態になるから.

私は自分を恨みましたよ.夕方にミネラルウォーターと「新しい日々」を,つうか「新しい日々」とかどうでも良いから,ミネラルウォーターを42本くらい買っておかなかった自分を恨みました.
飲む,出す,飲む,出すってミルク飲み人形みたいに繰り返してる訳ですから,1.5リットル3本なんてすぐ無くなっちゃうんですよ.3~4リットル飲めとか言ったやつが憎い.小康状態の時を基準に甘く見積もった自分が憎い.
女児に好まれるハイテク人形の真似すら出来なくなった私は,脱水症状のため,さながら幽鬼のように部屋の中をうろついていました.

当たり前ですがうろついても喉の渇きは癒されません.耐えられなくなった私は,警備のおっさんにお願いして,バー(深夜は鍵が閉まっている)にある冷蔵庫の水を売ってもらおう,そうだ,ファンタとかも買っちゃおうとか妙にハイテンションになってレセプションまで降りることに.Tシャツとトランクスじゃ流石にやばい,と服を着る時間の長かったこと.実際にも衰弱してて時間かかってたんでしょうけど,体感では普段の20倍くらい時間かかった気がしました.

2階の部屋から1階のレセプションに降りて,なんか酒臭いおっさんに,「水が欲しい.」と万感の思いを込めて訴えると,「わかんない」とか言いやがる.つうかお前の酒臭さでまた吐きそうになったじゃねぇかこの野郎.この人英語片言でしてね.全然埒があかないんですよ.「分かんない」,「レセプションが開くのは午前6時だ」って繰り返すばかり.つうか酒臭い.肩を落して部屋に戻って,楽な服装になろう,と服を脱ぐ時間の長かったこと.体感では普段の70倍はあったね.

身体の右を下にしてベッドに横たわり,水のことはおろか,なにも考えないように自分に言い聞かせ,マタギになれるんじゃねぇの,小鳥とかとまっちゃうんじゃねぇの,って勢いで目を閉じます.


……
………

やっぱ無理.もう無理.どう考えても無理.マタギになれるとか馬鹿じゃないの.

極限を迎えた私が選択したのは,ホテルのレストランに侵入."Filterd Water",つまり,濾過した水が入ってるタンクから水をがぶがぶ飲むことでした.まぁ濾過した水はただなんですけどね.
灯りの消えた深夜のレストランの中,月灯りに照らされつつ,濾過タンクの水をコップに注いではがぶ飲みを繰り返す頬の痩けた男.妖怪と言われても文句言えない.

「うめー!水うめー!」と感激しながらがぶ飲みしてたら,いつの間にか胃腸の不快感も気にならないくらいになってまして.なんとかその日は朝を迎える前に眠ることが出来たのでした.

目覚めると大分快調で,次の日も念のため水と「新しい日々」だけで過ごすと,全快といっていい状態まで持ち直すことが出来ました.ファンタも飲んだ.
こうなってくると気になってくるのが,私をこんな目に遭わせた原因.炎天下を毎日汗だくで歩き回って体力が落ちていたことと,慣れない食生活に胃腸が弱っていたことはあるにせよ,あの大暴れにはなにか原因があるはずだ.問題の優雅かつ豪快な休日に食したものを思い出してみます.

朝食:トースト;ジャム;マーガリン;ミルクティー@ホテル
昼食:マンゴーラッシー@カフェ
夕食:ダルバート・タルカリ;濾過水@ホテル

この中で,それまでの日常で食べていたものでないのは,

昼食:マンゴーラッシー@カフェ

まぁきっとこれですね.わかんないですけど.

異国の地で闘うビジネスマンには優雅な休日さえ許されないのか.なんと世知辛い世の中よ.寒い.心が寒い.とか思いながら悲壮な決意で甘えの許されない新しい日々を生きる決意を固めたのでした
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